【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの4歩目-着物のリフォーム方法』

普段着の着物を受け継ぎたい時に知って頂きたいことを順番にお話しさせていただいています。

  1. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの1歩』
  2. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの2歩目-種類と季節を知る』
  3. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの3歩目-着る準備メンテナンス』

1~3では、着物と触れ合うところから一歩ずつ進んで下さって有難うございます。着物と寄り添い好きなものを選んで、その好きな着物を生かしていくための知識までお話させていただきました。4歩目は、着ないと判断したり、着るのは難しそうな状態の着物たちにもスポットを当てていきます。‘’着ない‘’または‘’着れないもの‘’も実は!着る方法で再生させることができてしまいます。それは、ちょっと違うカタチにするリフォーム。とことん着物たちは生かせるのです。

でも『そんなに全部なんとかしてたら大変!』と思われるかもしれないですね。もちろん全部が全部生かしていただくのは難しいと思います。でも知って頂いてると『これは帯にできるかも』とか『羽織にしたら可愛いかも』などイメージを膨らませていただく事ができるので、知ってる想像の世界が広がって楽しいはず、です。今回の記事も、ぜひ私と一緒に着物の再生の世界を一緒に旅してください。それは楽しい旅です、旅が終わったらお家の着物達との会話をまた再開してください。今までずっと眠っていた着物達との会話が広がってワクワクの時間になっていきます!

 

 

普段着の着物-着れない着物のリフォーム方法

着物リフォームとリメイクの違い

『着物リフォーム』ってリメイクと一緒?と思われるかもしれないですが『着物リメイク』とは使い分けて、リフォームは『着物を着るために別のカタチにして生かす方法』という意味でお話させていただきますね。着物はもともと約12mの生地、反物という状態を最低限のカット数で裁断して仕立てています。解いてまた生地の状態に戻したら最低限カットはされていますが、立体的なカットはされていませんので長い生地でたくさん使うことができます。

その特性を生かしてリフォームをします。たとえば『着物から羽織』『着物からコート』『着物から帯』などなど、着物ではないですが着るものとして生かすことができるんです。着物が仕立て直しで着物として着られる上に、違うカタチでも着られるんです、本当にすごくないですか、とってもよく考えられてる捨てるところが無くて生かして生かして生かすんです。それだけの価値があるような生地だったり技法があるわけです。

ちなみに『リメイク』は、着物をテキスタイル(生地)として扱って、着物にまつわるものではない違うカタチにして生かす方法として私は言葉を使い分けてお話しています。

着物リフォームでできるもの

下記のリフォームが可能です。ただお手持ちの着物の生地の向き不向きや着物の状態や巾・着る方のサイズなど色々確認必須事項はありますので全部ができるわけではないですし、そこは細かいので詳細は割愛させていただきまして、できるだけ分かりやすさを優先しますね。『着物から何ができるかな→着物から4種類のものがつくれます』4種類の中にはコートも含まれますが、コートと言ってもコートには道行・道中着などの種類があるのでさらに細分化されます。色々できます!着物は着物のまま着るのはもちろん、リフォームしても良いところが伝わるといいなと思います。

  1. 着物から羽織へリフォーム
  2. 着物からコートへリフォーム
  3. 着物から帯へリフォーム
  4. 着物から長襦袢へリフォーム(レアケース)

ではひとつづつ内容を見ていきましょう

1.着物から羽織へリフォーム

『着物の裾が擦れてしまって着れない』『身丈が(着物の縦の長さ)足りない』『着物としてより羽織の方が似合う色柄をしている』そんな時には、丈を短くできる羽織またはコートにすると長さが短くなるので、丈が短かかったり裾が擦れてしまった着物も着られるようになります。(裾はたくさん着ると擦れて穴が開きます。あくまでもワンシーズンに1回くらいでは穴はあきませんのでご安心下さい)

着物から羽織へリフォーム工程

  1. 解く
  2. 洗張(着物を洗う工程)
  3. 裏地が必要な場合は、新しい裏地を用意する。着物の裏地は白色ですが、羽織の裏地は脱ぎ着をするため裏地にもお洒落感を求めてます。色柄のある裏地を用意します。
  4. 羽織へお仕立て

単衣着物(裏地のない)

1~4の工程を経て出来上がり

着物としても十分素敵ですし着られますが、羽織にしたらもっと気軽にたくさん着られそう!というリフォームです。とっても素敵です。裏地のない単衣の着物で写真はご紹介させていただきましたが、もちろん裏地のある着物からリフォームして羽織にすることもできます。あとは、羽織の方が着物よりも腕の長さが約5ミリほど長く作るのでそれが可能かなど色々とチェックは必要ですがそこまお任せ下さい。ご相談の時に確認いたします。

 

2.着物からコートへリフォーム

羽織と同じように着物からコートへリフォームができます。コートは襟が四角な道行と、着物のような衿あわせをする道中着の2種類があります。羽織は前が開いていて風が通るので春秋に楽しんで、寒くなって着たら道行コートや道中着コートを着て、もっと寒くなったらさらに上にショールを羽織ったりして防寒します。重ねて着ることで絹の中の保温効果であたたかく過ごすことができます。

着物からコートへリフォーム工程

  1. 解く
  2. 洗張(着物を洗う工程)
  3. 裏地が必要な場合は、新しい裏地を用意する。着物の裏地は白色ですが、裏地は脱ぎ着をするため裏地にもお洒落感を求めてます。色柄のある裏地を用意します。
  4. コートへお仕立て

袷着物(裏地のついている着物)

1~4の工程を経て出来上がり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.着物から帯へリフォーム

『着物としては着ないけど、生地はしっかりしてるし柄はいい感じ』そんな時は『帯にリフォーム』という方法もあります!帯は帯でしか作れないわけではないのです。ただ、着物から帯にするのに向き不向きはあると考えています。目的が着る事から結ぶことに変わるので、結んだときに帯のカタチがきれいにできる生地が向いています。帯を仕立てる時には、土台になる芯の生地に帯の生地を縫い付けてかたちにしています。帯をしっかりさせる芯の生地があるので、やわらかい生地ももちろん帯にできますが、使いやすく結びやすいのは、紬の生地でしっかりした素材感があることをおすすめします。

工程はいままでと同じです。着物を急に切って帯にするのではなくて、いったん生地にもどして洗って、芯になる生地を用意して、帯に仕立てます。

着物から帯へリフォーム工程

  1. 解く
  2. 洗張(着物を洗う工程)
  3. 帯をしっかりさせる芯地を用意
  4. 帯へお仕立て

袷着物(裏地のついている着物)

着物から名古屋帯へリフォーム前

1~4の工程を経て出来上がり

普通につながっている名古屋帯もできますが、こちらは胴回りとお太鼓部分が分かれている名古屋帯の二部式です。分かれているのでなれない方や腕が上がりにくいかたにも簡単に帯をみにつけていただけます。

着物から二部式の名古屋へリフォーム後 お仕立てあがり

着物から二部式の名古屋へリフォーム後 お仕立てあがり

 

着物リフォームとしてお話してますが、羽織から名古屋帯へリフォームすることもできます。羽織は着物より短いので、羽織の長さにもよりますが、帯は通常の名古屋帯か二部式の名古屋帯になるか検討する必要があります。羽織が帯になるのもよいですよ!

1~4の工程を経て出来上がり おしゃれな吹寄せの名古屋帯です

余談ですが、生地が残ったのでお揃いのバックとポーチを作ったりして楽しみが広がります

 

4.着物から長襦袢へリフォーム

着物を長襦袢にするのはレアケースです。着物の中に着る長襦袢は、肌に近い分トロンとして肌に沿うような優しい質感の生地が適しています。生地の厚みも着物ほど必要としてないので、長襦袢に向いていない着物生地で長襦袢を作ってしまうと、ゴワゴワして着にくい事になってしまいます。そうならないように、長襦袢のようなトロンとした質感や落ち感やある程度の強度とそして柔らかさと薄さがあるといいなと思います。長襦袢に適してると思う生地は少ないので、情報として知っていてくださればと思います。

 

旅が終わったら

着物から色々な形にリフォームして変化した写真とかお話をさせて頂きましたが、楽しんで頂けましたでしょうか!着物の再生の世界へいざなう旅は、楽しい旅でしたでしょうか。旅が終わったら一息ついてくださいね。お疲れ様でした。お茶を入れてゆっくりした時間を作ってリフレッシュしてください。

この記事は着物の知識を広げていただけたらOK!です。リフォームしてくださいというよりも、1枚の着物が着物として着て、次の世代に受け継いだり、身に沿わない感じになってきたとしてもリフォームしてまた自分好みにしてみたり、長く楽しめて工夫もできて、良いものがお家にあるって思って頂くだけでも十分です。着物の世界が広がった!なんてお気持ちになって頂けたら嬉しいです。

着物は着物以外にもできるんだ!という違う目線が加わって、お家の着物達との会話をまた再開したら、今までずっと眠っていた着物達との会話が広がってワクワクの時間になっていきますよ!着物との時間をより充実したものになりますように、そんな思いで書いています。

もちろんご判断が難しいとお考えでしたら、よろしければお声がけ下さい。ここからはそのためのお時間についてのご案内です。

カウンセリング

家族の嬉しい日を彩ってきた着物がお手元にあるけどどうしたものかお困りではありませんか。色々分からないことが多いと思います。もしよろしければ、ご相談下さい。カウンセリングいたします。そのためにお時間をとっていただきたいので、お手数をおかけしますがご予約くださいませ。カウンセリングでは、受け継ぐ喜びをお手伝いできますように分かりやすくお話を心がけております。ご遠慮なく色々ご質問下さい。

 

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受け継ぐことができますように、はじめの1歩はどうしたらよいか考えてお話していますが、私の言葉足らずなこと分からいにくい事、至らぬことがありましたら、どうぞご遠慮なくお声がけ下さい。受け継ぎたい着物を受け継ぐことができるように、尽力いたします。人生の中の宝物のような嬉しい瞬間、ご家族皆様の幸せの瞬間が笑顔いっぱいの時間でありますように。そこに受け継がれた着物があることを願っております。