【着物お手入れ】しみ抜きで対応が難しい衿 “衿のかけかえ”

しみ抜きで出来ない事もお直しでリカバリーします

職人さんの技術は素晴らしく、古いシミも見事にとってくれることが多いのですが、変色してしまったり、色が抜けてしまった状態では元通りにするのが難しい。

でもリカバリーできる事があります。この記事では衿の部分の色が抜けてしまったところを、衿のかけかえでキレイにできたお話をさせて頂きたいと思います。

衿のかけかえ

ご依頼の単衣の着物。しばらくぶりに着ようと思った時にアレ?以前はなかった衿汚れがある。という事でご相談いただきました。

丁寧に扱って下さってましたが、特に汚れてなかったので丸洗い・汗抜きはしてなかったとの事。衿元の色が気になりますね。

しみ抜きで取れたら一番いいんですが、職人さんに色が抜けてしまって変色しているのでしみ抜きでは対応難しい。という状態でした。

 

 

アップ

 

 

お嬢様にも受け継ぎたいというご希望もありましたので、美しい状態をお嬢様の代まで維持できますようにご提案させていただきましたのは、

  • 【衿のかけかえ】衿の部分をかけかえして、キレイな部分を出す
  • 【丸洗い】当店の丸洗いでは、丸洗い・汗抜き・衿とお袖口の部分的なお手入れすべて含みます。

衿のかけかえは、衿の汚れが古くてしみ抜きしても取れない。また変色してしまっている等。しみ抜きでは取れない場合にお直しでキレイにする方法。衿は下衿とかけ衿の2重になっています。(下の衿まで汚れが定着していなければ)キレイな下衿を上に出して部分直しする事で、表にキレイな衿を出します。

 

では衿のかけかえをした後の写真です。丸洗いもしているのでピシッと美しいです。

 

下の衿までは変色していませんでしたので、きれいなところが上にでると新品同様です。着物は本当によくできています。

これでお嬢様の代も気持ちよく着続けていられますね!

 

衿のかけかえのまとめ

着物の素晴らしいところは、着物の形状・仕立て方・手縫いである事で、こんな風に汚れを隠すことができてキレイを維持できる。本当によく考えられていると思います。お仕立て直しの際はもっと色々工夫する部分があるですがそれはまた別の機会にお話したいです。

今回は部分的なお直し衿のかけかけを使って着物が美しくなった様子をご覧いただきました。

最後まで読んでくださってありがとうございます。