【着物再生】留袖を受け継ぐために知っておきたい7つのこと
ご家族の晴れの日の着物 留袖
ご家族の晴れの日の着物【留袖】着られる日がくることが何よりも嬉しい幸せなことですね。ご結婚の予定がお決まりになったら留袖の準備です。新しく誂えることも素敵ですが、お母さまおばあ様の留袖を受け継いで着てあげることをご検討頂くのはいかがでしょうか。家族の幸せの門出をお祝いしてきた留袖を着て結婚式に出席する、喜びをつなぐことができる幸せな時間だと思います。
できればそうしたいお気持ちがあっても、もしかしたら『サイズがあわない』『古くて心配』『ずっとそのままでどうなってるのか見たことない』など、色々ご心配なこともあるかもしれないですね。
留袖を受け継ぐことができる喜びにつながるきっかけになりますように、という気持ちで【留袖を受け継ぐために知っておきたい5つのこと】お話したいと思います。振袖も同じようにお話していますが、ちょっと振袖とは違うところもあるので、よかったらご覧になって下さい。
ご覧いただく前に一つお願いです。お仕立直しやお直しはサイズを変えられる基本の方法ですが、振袖のサイズと反物の巾、次に着る人のサイズなど実際に測ったり次に着る人のサイズとを検討したり、生地のコンディションはどうなのか…色々と確認しないといけないので、こんな方法があるんだぁ。着物って色々できるところを知って頂くようなお気持ちでご覧いただけますと有難いです。
1.留袖が着られる状態かチェック
留袖は着る機会が少ない衣装ですし、振袖よりもたくさん生地を使って仕立てているのもあって生地の状態が良いか、着れるかな?という事を先に確認したいです。
まずは、広げて見てみましょう
1.留袖表側チェック
- 衿:衿が一番お顔回りで目に入る場所ですし、着た時の汚れが付きやすい場所です。ブラウスの衿元と同じ感じで来ているとうっすら汚れます。それを例えば着たまま収納されていたり、保管している間に着た時の汚れが時間を経て浮き上がってきているありますので、衿元は要チェックです
- 全体:シミやヤケなど着る時に目立つ汚れがないかチェック
2.留袖内側チェック
- 衿:衿元は黒の留袖と白の比翼という生地がついています。2重の衿です。この2重の衿の白い方も、着用した時に汚れやすいので、目立つ汚れがないか要チェック
- 背中の生地:着た時に背中にあたる部分の裏地。胴裏という名前で、基本的に絹の白い生地がついています。収納している期間が長く湿気がこもったままの状態で保管していると、この胴裏という内側の生地からカビが出てきます。そのカビちょっとなら、見えない部分なので多少のことは目をつぶって着て頂いてもいいかと思います。でもあまりに茶色い点々が出ていて、このまま着るのははばかられるような状態もありえますので、大丈夫かチェックしましょう
3.袋帯チェック
- 帯の状態1:結んだあとの皴がひどくなければそのままお使いいただけます。←もし結んだあとのシワが気になる状態ならプレスして伸ばせます。
- 帯の状態2:汚れることが少ないアイテムではありますが、一応汚れや糸が弱っていないかなどはチェックしてください。
留袖のコンディションは良好でしたら、あとは小物一式が揃っているか確認すればOKです。もし気になる汚れやシミがあればお手入れなど対処が必要ですね。お手入れのことは続いてお話したいと思います、先にサイズも確認しておきましょう。
2.留袖サイズ確認
受け継がれる振袖はサイズがあってるか心配ですよね。腕の長さや身長が足りていると一安心です。サイズの確認が難しい場合はご相談下さい。一緒に確認させていただき、もし身長差があってお直しや全体のサイズ直しが必要場合は、受け継がれた着物がお召いただけるようにお仕事いたします。(生地の長さや幅は着物によってそれぞれ異なりますので、対応できるかは確認が必要です)
3.留袖一式の小物が揃っているかチェック
【1.長襦袢の半衿】←以外と盲点です
留袖の下に着る長襦袢。大事なチェックポイントがあります、半衿がついているかの確認です。ついてなかった、または洗ってない古いままの半衿がついてる場合など、付け替えることができる部分です。留袖にあう半衿を選んで半衿をお付けすることができますのでご安心下さい。
【2.留袖一式】
- 留袖
- 長襦袢(ながじゅばん)←半衿がついてるかチェック
- 半衿(はんえり)
- 袋帯
- 帯締め(おびじめ)←帯の周りにつかう小物で帯の真ん中で結ぶ紐
- 帯揚(おびあげ)←帯の周りにつかう小物で帯の上側、着物との間に入れる生地
- 草履・バッグ←古いものは底が取れないか必ずチェック。長期保管で接着のりが弱くなってはがれることがあります。これは草履だけでなく長期保管してる靴も同じように底が外れます
- 末広←祝儀扇
- 髪飾り
着付け小物
- 肌襦袢(はだじゅばん)または肌着・きものスリップ ←上下に分かれてるものや、ワンピースタイプがあります
- 衿芯(えりしん)←薄いプラスチックな素材で半衿の中に入れて、衿元をシュッとさせます
- 足袋(たび)←履いた事がない方も多いので、全然難しくはないですが履き方は着付けの方に聞いてくださいね
- 腰紐(こしひも)←着付けするための必須の小物、紐で、素材は絹やモス(ウール)など色々あります。くちゃくちゃだと心もとないので、そんな状態ならアイロンを
- 伊達締め(だてじめ)←腰紐とおなじく着付けするための必須の小物、腰紐と違って平べったいタイプ。素材は絹やゴム、化繊のものもある
- 帯枕(おびまくら)←立体的なのでパッと見て分かると思うアイテム、小さい枕です。帯の土台にします。
- コーリンベルト(きものベルト・着付けベルト)←腰紐にゴムを入れてベルトにした改良したアイテム。腰紐だけで着付ける方もいらっしゃるのは、学んだところの方法なので言われてるなら用意しましょう
- 前板(まえいた)←帯をしっかりさせるためのアイテム。平べったい板状のもの
- 補正パッド・フェイスタオル←タオルの枚数は着付けする方にご確認下さい
※着付けして下さる方に必ず確認をお願します。上記は基本的に必要なものをご案内していますが、着せる方の着付け方で腰紐や補正のタオルなど数が変わることがありますので、あくまでもご参考としてください。
ここまでで留袖の全体のコンディションやサイズを確認して、持ち物までチェックしていただきました。時間もかかるし手順もよく分からないと大変だったと思います。着物と向き合って下さりありがとうございます、お疲れ様でした。
この時間をふりかっていただいて…留袖を見たり触ったり試着してみたりしてるうちに『着たいな』とか『お母さんが結婚式に着てたな』というご自身の気持ちと向き合ったり嬉しい日の思い出と一緒に過ごしていただける時間になりましたでしょうか。そうであったら嬉しいですし、きっと受け継がれた着物は思い出のアルバムをあけるような時間を楽しんで豊に感じて頂けるものが本来の着物の役割じゃないかと思っています。
家族の思い出を嬉しい時間を過ごしていただいて、そこからお手持ちの留袖を生かす方法をお考えいただくとメンテナンスや仕立て直しすることが『大変だな』という重い気持ちから『受け継ぐことができる、未来を語る嬉しい時間』になります。ここから未来を語る時間がはじまります。
4.留袖 着用前の事前のお手入れ
【1.留袖が着られる状態かチェック】して頂いてありがとうございます。チェックしていただくとだいたい5つのケースが予想されます。
- そのまま着られる
- 汚れは気にならないけど、たたんでいる折り目以外にもシワがあちこちにある
- 保管している時間が長くて湿気てるようななんだかさっぱりさせたい
- 古いシミがある
- 衿の汚れがひどい
この5つのケースだった場合に考えられるお勧めの対処方法をご案内させていただきます。あくまでも当日着るのに気になる事を対処することを目的としています。気にならない良い状態ならそのままですし、着る時に気になる部分を改善する必要最小限でできるようにご提案したいと思っています。本当は最後の着た後のお手入れが大事にしてもらえるとキレイな状態が続けられるので意識していただけたらと考えています。
1.そのまま着られる
素晴らしい状態で保管されてるので安心。
2からは、対処が必要と思う内容なので順番にお話ししていきます。
2.汚れは気にならないけど、たたんでいる折り目以外にもシワがあちこちにある
長年保管している、同じ引き出しに何枚かいれていて出したり入れたりしてるうちに、たたんでいる以外の場所にもシワが寄ってしまうことはあります。ご自分でアイロンで伸ばせるかというと、難しいかもしれないと思います。なぜなら、昔制服って黒や紺色のものを直接アイロンするとテカりませんでしたか。そんな感じで黒色かつ素材が絹なので、アイロンでテカってしまったら困りますよね。その点はプロはテカることなくピシッと伸ばしてくれるので【プレス】してもらうのをお勧めします。(汚れが気にならない場合に限ります)プレスだけしてもらって、シュッときれいな状態で気持ちよく着られます。
3.保管している時間が長くて湿気があるような気がする。くたっとしている感じ。
長年保管していると思っておられるより湿気がこもっています。生地がなんとも重いような感じ。くたっとしているような雰囲気。さきほどと同じくプレスして、シャキッとさせるといいと思います。また前回の着用後に洗ってない、またちょっと全体に汚れが気になる場合は丸洗いが向いている場合もあります。丸洗いは、洗う工程とプレスする工程の両方をします。
4.古いシミがある ← お手入れしましょう シミヌキ・丸洗い
いつの何のシミか分からない…。そんな事もありますのでその時は、シミヌキしましょう。古いシミはシミヌキが大変繊細な作業になるのと、シミがある部分を直接上下で手を入れて作業したいので、留袖の一部分を解いて、シミがある部分に直接作業できるようにします。もちろん解いた部分は縫い直しするので元通りになりますが、それだけ工程が増えることになります。また古いシミがある着物はやはりそれだけ全体に汚れや洗った方がよいコンディションであることがシミヌキと全体を洗う丸洗いをして、全部キレイにお手入れさせていただく事をおすすめしています。料金もその場で確定できないので職人にいったん見て頂きます。お見積りいたしますので、古いシミがある場合は、ご予算とお時間に余裕があると安心です。※古いシミはのシミヌキは善処しますが新品のような完全になかったことになるのは難しいことなどご了承ください。
5.衿の汚れがひどい ← お手入れしましょう 衿の汚れを取る・丸洗い
衿は汚れやすいです。ブラウスの衿元が1日着ただけでも汚れますので、着物も同じように汚れます。でも目立つところなのできれいにしておきたいですね。衿が汚れていた場合、前に着た時の汚れが残っているので古い汚れです。古いシミヌキと同じく繊細な作業になりますので、よごれをできるだけとって、黒色は補正ができるので補正するなどしてよい状態にしていきます。それだけ衿に汚れが残っている状態なら、全体も気になるようなことがあると思われますので、衿汚れをとる作業と全体を洗う丸洗いをして、全部キレイにお手入れさせていただく事をおすすめしています。料金もその場で確定できないので職人にいったん見て頂きます。お見積りいたしますので、気になる衿汚れがある場合は、ご予算とお時間に余裕があると安心です。※古い衿汚れがきれいになるよう善処しますが新品のような完全になかったことになるのは難しいことなどご了承ください。
ここでお話させていただきました丸洗い。着物のクリーニングのことです。当店の丸洗いのお仕事内容もご案内させていただきますが、事前の対処法は着る時に気になる部分を改善する必要最小限でできるようにご提案したいと考えています。
丸洗いとは
丸洗いとは、着物を解かずにそのままの状態で洗う事です。当店の丸洗いは、全体を洗うだけでなく細かなお仕事も含めて承っております。丸洗いの料金に【全体の丸洗い・衿と袖口の部分洗い・5ケ所簡単なシミ抜き・汗抜き】が含まれております。下記にお仕事内容をご案内いたします。
- 丸洗い………全体を洗います(着物を解かずにそのままの状態で洗う事)
- 衿・袖口……衿と袖口は必ず汚れるので、部分的に別途汚れをとります
- シミ抜き……部分的な汚れ・シミをとります。料金に含まれるしみ抜きは、5ヶ所まで。6ケ所目から1ケ所につき500円頂戴いたします。簡単なシミや、最近ついたシミを対象としています。
- 汗抜き………汗をかいたところは、別途汗抜きの工程が必要です
- 仕上げ………プレス。新しいたとう紙に入れてお渡しいたします
上記すべてが丸洗い料金に含まれます。時間の経過したシミやワイン・珈琲・血液など色の濃いものなど、状態によっては別途料金が必要になります。その場合はお見積りいたします。
サイズがこのままお召いただける場合はお手入れするだけでOKです。サイズが違って直したい時は部分的に直す裄直しや全体を直す仕立て直しという方法があります。ここからはサイズが違う場合のお話をさせて頂きます。
5.留袖 腕の長さだけ直したい[裄直し]
事前にサイズの確認で、身長は同じでも腕の長さだけ違う。そんな時にできることは、【裄直し】裄とは腕の長さの呼び方です。首の付け根の中心のぐりぐり~手首のぐりぐりまでの長さです。身長は同じでも腕の長さが違うこともありますよね。その時は、部分的に直してあげるか、ちょっとだけならそのまま直さないで着ることもアリです、もちろんご了承の範囲です。
ただ注意点が多いです。部分直しは一部分を調整するので気を付けることがでてきます。また生地の状態などを考慮しますと部分的なお直しでは難しい場合が多いので、仕立て直しをお勧めする事があります。
【裄直し】をする工程
- お袖と身頃(ボディ側)を外して→つける部分を全部解く(袖のボディ側は全部解きます)→今までの縫い目の部分の折れ目を伸ばす→縫いなおす
- 留袖には『比翼』という衿・袖・裾まわりに通常の着物にプラスして白い生地をつけています。2重になるようにあえてつけているものです。幸せが2重に、生地も2重に。その比翼も裄直しで同じようにお袖と身頃(ボディ側)外して縫い直します
【裄直し】気を付ける事
- 生地の巾:お直しして伸ばせるだけ、生地の幅があるかどうか。伸ばしても希望の長さまで伸ばせるかどうか。が問題です。
- 生地の状態 縫い糸:部分的なお直しで大丈夫な生地の状態である事。例えばかなり古くて縫っている糸が弱ってお尻のところとや袖がついてるところが破れそうなどあると仕立直しの方がよいかもしれません。
- 生地の状態 見た目:この部分だけお直しするので、縫い合わせていた部分の柄が今までと同じ場所で縫えないので、柄のつながりが同じようにはできません。
- 生地の状態 ヤケ汚れ:古くて生地がヤケて変色していると、今までの中に入っていた生地との境目が目立つ可能性がある。
- 長襦袢:振袖だけでなく、中に着る長襦袢もお直しする必要がある
6.留袖 サイズがあわない時は[お仕立直し]
お仕立て直しとは、全部解いて、反物の状態につなぎあわせてお洗濯をします。キレイになった生地で、お嬢様のサイズにあわせて縫います。解いて隅々まで洗うことが出来て、サイズも調整できるのが着物のすごいところ。次世代へ未来へのバトンを渡せるように作られていますので、その魅力を知って頂けると嬉しいです。
【お仕立直し】必要なケース
- サイズがあわない
- 生地の状態や縫っている糸の状態がよくない
- 裏地が変色している
- カビ・ヤケ・シミなどの汚れがひどい
【お仕立直し】工程
- 解く :縫っている糸を全部解きます
- 洗う :解いた生地を反物の状態に仮縫いをして一枚の状態にします。それを洗います。解いて洗うので、この状態なら古いシミをとる作業などもしやすいですし、隅々まできれいにできます
- お仕立:希望のサイズに仕立てます。生地の巾や長さはあるだけになるので、その中でできる範囲でお仕立します
- 追加 :表の振袖の生地、内側の生地が全部そのまま生かせるなら追加はありませんが、裏地が変色しているなど交換した方がよければ、新しいものを用意します
- 長襦袢:お仕立直しをするなら、表側の振袖と一緒に内側に着る長襦袢もお仕立直しして、全体のサイズが一緒に仕上がるようにします
【お仕立直し】気を付けること
サイズの限界がある:新しい反物からお作りするわけではありませんので、今ある留袖と長襦袢の生地の長さと巾がある範囲は決まっています。そうです限界があります。今ある生地巾と長さが着用される方のサイズにあわせられるかがポイントです。着物の巾を確認して判断しますが、だいたい160cmくらいの方までは大丈夫なことが多いです。実際に一部分解いて生地の巾を確認するなど、細かく確認していく必要があります。新しいものではないことをご理解いただいて、できるだけご希望にお答えしていきたいと思っています。
嬉しい日の準備がすすみましたら、あとは当日をドキドキしてお待ちいただく事になりますね。人生の嬉しい日を最高の笑顔でお過ごしいただけます事を願っております。当日着て終わりと言えば終わりなのですが、留袖をしまうところまで、もうちょっとだけお付き合いください。
7.留袖 着た後 [お手入れ]
最高の日を最高の笑顔でご家族が過ごされ、幸福感いっぱい!でも体はお疲れと思います。本当にお疲れ様でした。…では終われない!着物はそのままにできませんので、あと後片付けまで。がんばりましょう!遠足で無事にお家に変えるまでが遠足、と同じです!これができていれば次も安心して着続けることができますので、ぜひ最後まで読んでください!
以外と盲点なのが、お手入れです。『1回しか着てない』という魔法の言葉。1回なら汚れてもないし収納しよう。と判断してしまうと思います、分かります。
でも!結婚式の日のことを思い出してください、まず『緊張している』+『なれない着物を着ている』そして『泣いたり笑ったりして体温があがって汗をかいている』『写真をとってたり夢中な時間を過ごして汗をかいている』『1日中着ている』という条件で1日着ていること様子が浮かびましたでしょうか。室内の暖房もありますし汗かいていたり、衿にファンデーションがついてたり、食べこぼしがあったり、何があるか分かりませんよね。もしそのままの状態で洗わずに保管してると…例えば、白のブラウスやTシャツでも1日着てそのまま放置していたら衿元とか袖口が黄ばみますよね。同じようにすぐには見えなくても長期保管してるうちに汚れが浮き上がります。久しぶりに広げると、あれ!!という事が可能性として考えられます。
そうなる前に『1回しか着てない』の魔法の言葉はおいておいて、収納いただく前に留袖も長襦袢もお手入れしてあげましょう!
留袖 お手入れ 丸洗い
この記事の初めの方でお手入れのお話はさせていただいてるのですが着る前のお手入れは、着るのには困るような事を改善することが目的です。きれいにしていつでも着られるようにして保管しておくのが理想なので、着た後にお手入れしておくことで次に気持ちよくすぐに着る事ができます。そのための『着た後のお手入れ』です。次に訪れる‘’嬉しい日のための準備‘になります、ぜひ最後まで手をかけてあげてください。着る前にキレイにしてあるので、着た後のお手入れは『丸洗い』(クリーニング)で大丈夫かと思います。ただ食べこぼしがあったりワインをこぼしたりとか色々アクシデントがあると別途シミヌキしてあげる必要がありますので、そういう気になる事も収納する前にきれいにしておきたいですね。
お手入れしたら、あとは収納していただいて、お疲れ様でした…なんですが。着た後のお手入れにあと1つだけお話があります。思い出のアルバムを開くように嬉しい時間を着物とまた過ごしていただく時間のお話と思って読んでいただけると有難いです。
虫干し 着物を愛でてあげる1年に1回の機会
お手入れしたらもう終わり!のはずでしたが、1つ追加させて下さいというのは、1年に1回留袖に風を通してあげたいのです、目的は中にこもっている湿気をとるためで、名前がありまして‘’虫干し‘’と言います。
虫干しって何でしょう?ってなると思います。着物の湿気取りのために着物をハンガー(できれば着物用ハンガーオススメ)にかけて干すことを言います。しまいこんでしまうと、湿気が箪笥にある、着物が湿気る、カビの原因になる。のを防ぐ効率的で無料で自分でできる最強のメンテナンスです。干すだけ!です!でもそれが面倒とは思いますが、でも知って頂きたいのは、虫干しは無料です。そして着物のコンディションを維持するためにはとても効果がすごくあるメンテナンス方法です。
虫干しが有効な事をお話させて頂いてますが、わたしが一番思っているのは、メンテナンスとか虫干しというやらなくちゃ~というイメージよりも『1年に1回、大事な着物を愛でてあげる機会』。振袖がお家で干してあると、あの嬉しい日をご家族で留袖を見て思い出すことができます。嬉しくて懐かしい日に一瞬で戻れるのが着物のすごいところです。なので、いつもはしまっている留袖をアルバムを出すように思い出に触れる機会としてまた出会ってあげてください。それはきっと心が温かくなる幸せの時間になるはずです。
そんな幸せの時間の過ごし方という虫干し。方法をお話しますね。
干し方
- 場所:風通りの良いところ(扇風機使うのもアリですが基本風が通る所で)
- 場所:直射日光の当たらないところ
- 時間:お昼前くらいから夕方前まで
- 天気:お天気がいい日がベスト、空気がサラッと気持ちいいお天気の日にしましょう、着物も喜びます!湿気のある日はパスです!
- 心 :一緒に着物を愛でてあげて、嬉しい気持ちなる
写真はイメージです。ご参考にこんな感じで風通しよいところで、干してあげてください
チェックする事
- 表側:シミや汚れがないか
- 内側:カビが出てないか。特に裏地(胴裏という背中や袖の裏地の白い生地)に注目ください
- 心 :一緒に着物を愛でてあげる、また着る機会が楽しみにだね、ってお話する
大事な思い出がよみがえったでしょうか、嬉しい日は何度思い出しても嬉しいですね。そしてそれとともに、チェックしていただくのは衿元や食べこぼしなどないか、脇の辺りに汗ジミがないか。着た後にはすぐに目立たなくても時間が経過してシミが濃くなって気づくことがあるので「着た時問題なかったし」というイメージで見てるの見逃しちゃうので、あとから目立つんだということを知っていてくださいね。
もし気になる事や以外と汚れてるかも…発見したら、プロにお手入れをご相談なさってください。といいつつ当店で受け付けしておりますので、お声かけて下さい。大切な着物をこれからも美しく着続けられるように思い出が大事に受け継がれますように職人ともども努めます。
できれば虫干しと一緒にする事
着物を入れているたとう紙。紙も湿気を含みますので、シワシワ・ふにゃふにゃな形状になってしまっていたら交換をおすすめします。まだしっかりしているなら、一緒に干してもらうと継続してお使い頂けます。
お手入れまで長かったですね、最後まで読んでくださってありがとうございます。あとは自分で判断が難しかったり相談したいな、と思った時は頼って下さい。というお話です。
カウンセリング
結婚式、涙が止まらない瞬間かもしれませんね。留袖はそんな人生の嬉しい日にお召いただく着物です。
そんな大事な留袖がお手元にあるけどどうしたものかお困りではありませんか。色々分からないことが多いと思います。もしよろしければ、ご相談下さい。上記5つのことをもとに留袖と長襦袢をカウンセリングいたします。そのためにお時間をとっていただきたいので、お手数をおかけしますがご予約くださいませ。カウンセリングでは、受け継ぐ喜びをお手伝いできますように分かりやすくお話を心がけております。ご遠慮なく色々ご質問下さい。
留袖を受け継ぐのに、知って頂くとお役に立つのではないかと思う事を書かせていただきましたが、たくさん書いていますが難しくお話したいわけではありませんで、着物に詳しいおばあちゃん的な存在になるような『あ、そうなんだ~』という身近で分かりやすかったと思って頂けることを心がけましたが…いかがでしたでしょうか。私の言葉足らずなこと分からいにくい事、至らぬことがありましたら、どうぞご遠慮なくお声がけ下さい。受け継ぎたい着物を受け継ぐことができるように、尽力いたします。人生の中の宝物のような嬉しい瞬間、ご家族皆様の幸せの瞬間が笑顔いっぱいの時間でありますように。そこに受け継がれた留袖があることを願っております。