【羽織リメイク実例】親から子へ、そしてまた親へ。羽織と帯がつなぐ家族のぬくもり
― ご両親が誂えてくれた羽織と袋帯から生まれた、テディベアとミニ帯スツール ―
想いを“今”に生かすということ
ご両親が誂えてくれた羽織と袋帯。
袖を通す機会がなかったけれど、タンスで眠っていて
「いつか何かの形で生かせたら」と思ってこられたそうです。
ご依頼の羽織と袋帯を捨てないでいてくださり、生かそうと検討して、当店にお越しくださいました。誠に有難うございます。
「着ることはなかったけれど、こうして手にできて本当によかった」
その言葉には、長い時間を経て再び“心が触れた”感動がこもっていました。大切にしたい想い、大切にできた時の喜びや安堵感。色々なお気持ちがあると思います。
お客様にご協力いただいて、そのストーリーの一部をビフォーアフターの写真を添えてお届けさせていただきます。
Before:ご両親から受け継がれた羽織と帯
ご依頼品 羽織 総絞り 椿文様
絞りの羽織:黒地に咲く朱の椿
手仕事の細やかさが際立つ、絞り染めの羽織。
黒地の中に咲く朱の椿が印象的で、モダンさと温もりが共存する一枚です。
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この羽織には、ご両親の想いが込められていましたが、なかなかお召しになる機会に恵まれず…。
それでも布は美しく、まるでその時を待っていたかのように輝きを残していました。
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金糸が織りなす晴れの日の袋帯
柔らかなオレンジ地に、金糸が流れるように織り込まれた袋帯。
咲き誇る花々が艶やかに浮かび、見る角度によって表情を変えます。
華やかながらも気品に満ちた一枚で、ご両親が贈られた“祝いの心”が伝わります。
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ミニ帯スツールには土台部分に別生地をおつけしております。ご依頼の際にお選びいただきますが、これがまた楽しい時間です。
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解く工程
ご依頼いただいて、当店でご依頼内容を確認し基調・記録をします。解いてプレスの工程で、生地の状態にしましたら職人に制作依頼をしまして、出来上がり。お渡しという段取りで進めさせていただいております。
- ご依頼→解く・プレス工程→(撥水加工など)→制作→仕上がり→お渡し
写真は解く・プレスの工程の状態です。
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綺麗にまっすぐになっているので、制作して残った生地ももちろん何かにお使いいただけます。
After:想いを形に、手に届く距離で
羽織から生まれた「テディベア」
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羽織の絞り柄と朱の椿を丁寧に配置しながら、一針一針縫い合わせたテディベア。
生地の凹凸が柔らかな陰影を生み、黒と朱のコントラストが“生命の力強さ”を感じさせます。
お客様の手のひらの中で、布が再び息づいた瞬間。テディベアさんが微笑んでるようです。
帯から生まれた「ミニ帯スツール」
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オレンジの帯地を贅沢に使い、座面に張り込んだミニスツール。
木の脚と紫の縁布が、帯の華やかさをより引き立てます。
見るだけでなく、“触れて使える”インテリアとして新しい命を吹き込みました。
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紫色とのコントラスト
想いの循環:親から子へ、そしてまた親へ
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羽織も帯も、ご両親がお客様の幸せを願って誂えたもの。
その布が、今度は子の手によって再び生かされるストーリにつながるかもしれません。お客様は最後に、こう話してくださいました。
「次は、リメイクで両親へのプレゼントを作ってあげたいです。」
“もらった愛を、今度は返す”——その想いは、着物を通して。リメイクは、ただ形を変えるものではなく、心の時間を未来へとつなぐ愛情の橋渡し。そのことをお客様からまた教えていただきました。大切な想いをお預けくださいまして有難うございます。
“リメイク”とは、過去を手放すことではなく、愛情を過去から今に、今を未来につなぐこと。静京は、そんな「喜びの循環」をこれからも紡いでいきたいと思います。
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