【着物リメイク実例】道行コートの江戸小紋から、ロングベストに。生地の美しさを日常へ
道行コートの残り生地から仕立てる、江戸小紋のロングベストは、心に響く“着物アップサイクル”
いつも当サイトをご覧くださいまして、また初めての方も有難うございます。
「この生地、残りなんて言えないくらい素敵で。」
そんなお声と共にご相談いただいたのは、道行コートをお誂えされた際に残った、江戸小紋・松文様の反物。繊細な型染めと上品な色合いが魅力の生地でした。
私たち静京では、「着物を、最後まで使い切る」という想いを大切に、リメイクをご提案しています。今回ご紹介するのは、その残り生地を活かしてお仕立てした“ロングベスト”の実例です。お話ができるのはご協力くださったお客様の優しいお気持ちがあるからです。ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです。
お客様の リメイク ストーリー
ご依頼は、コートをお仕立てされた残りの生地。とても素敵な生地なので、残りという言葉はちょっと違ってくると思うので、残ってる状態。ですね。
元々は、江戸小紋の着物の反物から道行コートをお仕立てされたそうです。
江戸小紋とは、江戸時代の武士の裃(かみしも)にルーツを持つ、非常に細かな柄を型紙で染める技法です。遠目には無地に見えるほど繊細で、近くで見ると、松竹梅や鮫小紋、麻の葉など、縁起の良い文様がびっしりと並びます。
この技法には、高度な彫刻技術と職人の熟練が必要で、“控えめな華やかさ”が特徴。今もなお、フォーマルな場だけでなく、洋服リメイクに使えば日常の中で粋を楽しめる生地として、幅広く愛されています。
日本人らしい、本質を表現しつつも控えめ、そしてよく見ると華やかであり、文様には意味が含まれているという、侘び寂びの文化の象徴のような染めの技術です。
こちらで、道行コートという着物の上に羽織るコートをお作りになられて、生地がまだまだ残っていましたので、素敵さを生かしてあげたいお気持ちでオーダーくださいました。
Before|お客様のお誂え:江戸小紋の道行コート
お仕立ての際に残った生地。細やかな松文様が全体に広がり、目を凝らすほどに浮かび上がる職人の技。
着心地よく、重ね着も楽しめるロングベストへ。
松文様は、どんな季節でも青々とした葉を保つことから、長寿や変わらぬ想いをあらわす、やさしい願いの込められた柄です。
「いつまでも、健やかで、凛とした心でいられますように」
そんな願いが、昔から松の模様に託されてきました。
家族の無事を祈ったり、大切な人とのご縁を長く大切にしたいときにも選ばれてきた柄で、祝いの席や節目の装いにもぴったりの、心あたたまる文様です。
今回のリメイクでも、この松文様がやさしく寄り添います。
Remake Process|リメイクの工程
柄の配置とデザインのご提案
ベストの形にあわせて、今回は全部同じ柄の繰り返しなので、配置はそのままになりました。パターン制作と裁断
お客様の身長や着用シーンにあわせ、重ね着しやすい身丈へ調整。少し短めに。縫製と仕上げ
職人の手で一つひとつ丁寧に縫製。着物地ならではのやわらかなドレープを活かした仕上がりに。仕上がった後は、数センチのハギレのみで、残りが全然ありません。生かし切れてます。
After|完成したロングベスト
前開きのオープンスタイルで脱ぎ着もラクに
後ろ姿はすっきりとした広めの襟ぐりでインナーを選ばず
両サイドには便利なポケット付き
軽やかで、春から秋までロングシーズン活躍
この一着は、和の美しさをさりげなく日常に纏う、まさに大人の装いです。
お客様のご感想
「こんなふうに生まれ変わるなんて思っていませんでした。
コートとお揃いで着られるのが嬉しいですし、ベストだと本当に使いやすいですね。」
と、お喜びの声をいただきました。
静京の着物リメイクとは?
静京では、皆様が大切にしてこられた着物を、新たな形に再生する“着物アップサイクル”を承っています。
「想い出をしまっておくのではなく、今の自分に似合う形で纏いたい」
「生地の美しさを、日常の中で楽しみたい」
そんなお声に応え、一人ひとりのご希望に寄り添ったリメイクを行っています。
📌 料金目安やご相談方法は、こちらのページをご覧ください
最後に…
着物は、“残り”ではなく“続き”です。
物語を繋ぐ一着を、あなたの手元に。
ご相談はいつでもお気軽に
「着物から日傘にリメイクしてみたい」
「どんな柄が日傘に向いているの?」
「母の着物を何かに活かしたい」
そうしたご相談を、丁寧に一つずつお受けしています。
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